日生ノ木日

私の全て。これは私がこの世に存在した証。

凡人

私はいつも不安だった。

見えない孤独への不安に取り憑かれて、未来に絶望していた。

夜が怖くて、毎日が苦しかった。

それらの不安と苦しみが、私を構成していた。

言うなれば、「辛さ」こそが原動力だった。

辛いから逃げるために、耳を塞ぐ。音楽を垂れ込む。

辛いから逃げるために、考えるのを止める。時間の空白を埋める。

理解してもらいたいとか、全く思わなかった。

ただ、その時の引き裂かれそうな辛さを、何か形に留めて、誰かに伝えたかった。

無かったことになるのが嫌だった。

こんなに辛いのに、私が死んだ後、忘れ去られた後、全て無かったことにされちゃうなんて。

私の心を聞いて、見て、誰かに何かを感じて欲しかった。

だから、私は狂ったように毎日を音楽で埋めた。

曲を作る時、自分の感情と向き合うのが死ぬほど苦しくて、投げ出しそうにもなった。

けど、なんとか意地で歌詞を書いた。

そりゃ嫌いになりそうにもなるはずだ。

 

今の私には、描きたいものがない。

仕事をしながら作曲がしたいと思ってたけど、いざ今ペンを握ると、伝えたい感情が湧いてこない。

きっと、「普通」になっちゃったからだと思う。

もちろん、悪い意味ではない。

とにかく不安で苦しい日々から抜け出して、今の私は良くも悪くも安定している。

幸せだと思うし、3年前よりずっと息がしやすい。

だからこそ、なくなっちゃったんだ。

戻りたいなんて1ミリも思わないけど、少しだけ寂しい気もする。

 

私にとって、音楽はとても大事な存在。

自分の感情と静かに向き合う時間。

時に懐かしく、時に切なく、いつも私を支えて、動かしてくれる。

これからも、ずっと大事だと思う。

 

けど、前より少しだけ、遠くに感じる。