日生ノ木日

私の全て。これは私がこの世に存在した証。

キャパオーバー

素晴らしい音楽に出会ってしまった。

興奮と切なさが混ざったような、新しい感情を見つけた。奏でる者への感動が溢れる一方で、自分の心がここまで激しく動かされたことに狼狽え、見えないものを具現化する才能に嫉妬した。もちろんここでいう才能とは、天性の才能のような、努力しなくとも持ち合わせているようなもののことではない。自分の技術と努力を信じて、真っ直ぐに突き進める強さのことだ。言葉や音楽、その他もそうだろうが、芸術面のセンスを磨くには、多大な努力と犠牲が必要だろう。「好き」や「希望」だけでは簡単にやっていけるものではない。飽きることを知らない。挫折を恐れない。その強さがないと続けていけないと思う。その強さが自分にはないと分かっているので、少し羨ましくて、少し悔しくなった。

自分には表現し切れないような感情があること、伝えきれない内面の声がずっと潜んでいること。それらが浮き彫りになってしまったような気がした。彼らの言葉を借りれば「才能を越えてゆく感情」それがふっと姿を現しては、掴もうとすると消えてゆくのだ。

今の私にできることは、努力だけ。いつか感情の端を掴むその日まで。